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タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
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人類は、みな兄弟・・・?

「この人は、どこから来たんだろう・・・」
日本人のような、そうでないような、そんなアジア系のお客さんが入店してきたときは、いつも緊張が走ります。確実に日本人だと分かる場合、これは当然、「いらっしゃいませ」と挨拶します。ところが、一見しただけでは判断できない場合が結構あります。日本を離れて13年以上にもなりますから、私自身、日本人に見られないこともよくありますが、それ以上に変わったと自分でも、はっきりと分かるのが日本人識別能力でしょう。普段日本人に囲まれて暮らしているわけではありませんから、どの顔のパターンが、あるいは洋服のセンスが日本人のものなのか、分からなくなっているようです。

普段なら、日本人とわからなくても、ほとんど問題は起こりません。しかし、これがお店の中で、ということなら話が全く違ってきます。私が日本語で、「いらっしゃいませ」等と言おうものなら、それだけで、シラーっとしたムードが流れ、「アイム・ノット・ア・ジャパニーズ」と冷たい口調で言い返してくる人達が中にはいます。具体的には、中国と韓国から来ている観光客の一部に、このパターンが見られますが、そんなとき私は、ヤバーっと思いながらも、とっさに話をプーケットの観光関連に切り変え、このシラケた雰囲気を取り繕う必要に迫られるわけですね。幸いにも(?)、私は韓国人のような顔をしていますから、もしも相手を怒らせてしまっても、なんとかごまかせるかもしれません。

顔のことで思い出しましたが、私の韓国顔は、どうやら筋金入りのようです。昨年帰国したとき、駅前通りを歩いていたら、韓国エステの呼び込みのお姉さんが私に向かって、「可愛い子、いっぱいいますよ」と声を掛けてきました。可愛い子は大好きですが、無視していたら、この人は、立ち去ろうとする私について来て、何やら説明しながら食い下がってきます。それでも私が黙っていると、この人は何を思ったのか、突然、言葉を韓国語らしきものに変え、訳の分からないことを言いながら、ずーっと、ずーっと追尾してきました。この凄い粘りに感心しながら、それでも無視を決め込んでいた私に、彼女はとうとう諦めたのか、立ち止まって一言捨てゼリフを吐きました。
「ナンダラ、カンダラ・・・」
やっぱり韓国語でした。韓国人に韓国人だと間違われ、最後まで疑われることもなく、捨てゼリフまで韓国語で言われてしまった私は、これから、どうすればいいんでしょうか。

お店では、「たぶん、日本人だろうなあ」と思っても、話している言葉が日本語と認識できるまで、あるいは、持っている本やガイドブックが日本のものである等、確実に日本人であることを確認できるまでは、迂闊に日本語を喋るわけにはいきません。
これと、まったく正反対の対応になるのが、シンガポール、香港、台湾などからやって来る中国系の観光客です。
「アイム・ノット・ア・ジャパニーズ」
彼らの口から出てくるセリフは、まったく同じですが、その表情が全然違います。彼らの目は好意に溢れ、こちらが日本人だと分かると、彼らの態度は、いい方に変わります。私がお土産屋で店番していたときも、それまで値切りに値切っていた香港のおじさんが、こちらが日本人だと分かったとたん、態度を急に変えて値切らなくなったことがありました。日本人に対する肯定的なイメージは、確実に存在しています。信用あるようですね(逆に言えば、タイ人の売り子さんは、全然信用されていません)。外国で暮らす日本人として、このイメージをぶち壊し、幻想にしないよう心がけたいものです。

そういえば、昨年タイでASEANの国際会議が開かれたとき、こんなエピソードがありました。歓迎パーティー会場の入り口で、プリンセス(国王のお嬢様)お二人が、タイ国を代表して来賓たちを出迎えておられたときのことです。
「この度は、かくも盛大なパーティーにお招きいただき、誠に・・・・」
「貴国を訪れたとき、人々の親しみ深さに感動いたしました。ぜひまた・・・」
きっとお二人と来賓たちとの間では、そんなやり取りが交わされていたことでしょう。このやりとりが終わってから入場、これは国際社会の常識だと思います(・・・つうか、日本の結婚式だっておんなじですね)。

そして、チャンネル7のカメラの前には、いよいよ我らが小泉さんの姿が・・・。ところが、小泉さんは、何を勘違いしていたのか、たったの一言、
「どうも、こんにちわー」といつもの調子で、すーっと中に入っていってしまいました。プリンセスお二人は、ビックリして顔を見合わせ、苦笑いと共に暫くの沈黙の後、
「えっ!?これだけ・・・・なの?」
音声は聞こえませんでしたが、お二人が口に出したであろうセリフが聞こえてくるようでした。もしも、みのもんたさんが吹き替えをやっていれば、「マジ?」と最後に付け加えていたはずです。恐らく小泉さんは、お二人が王室の人間であることにも気づかず、会場に入り、ワインを飲んで、そのまま帰ってしまったんでしょう。きっと、あの後も、こう思っていたんじゃないでしょうか。
「今回も大成功だったなあー。やっぱり、俺って天才?」

日本に憧れて留学した東南アジアの学生たちが、日本で受けた様々な差別待遇から帰国後、反日になってしまうという話を聞いたことがあります。彼らは数十年後には、その国の指導者層の人間になる可能性もありますから、これは深刻な問題かもしれません。
まあ、それでも、いくらアジアの国の一部にギクシャクとした関係があるからといって、隣のテーブルに座って食事をするのもイヤだということはないと思います。
ところが、ここに白人、黒人、アラブ人らが入ってくると、話は一段とややこしくなってしまうのです。

       <以下次号>
by phuketbreakpoint | 2006-01-20 16:13