タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

<   2008年 12月 ( 2 )   > この月の画像一覧

必殺、身の上話

いつまで経っても進展しない外交問題に、北方領土問題があります。
押しも押されぬ、日本領である千島列島(全島です)は、勿論のこと、もともと日本人以外は住んでいなかった樺太、こういった広大な国土を、あっさりと放棄して、最初っから、みみっちく、
“一番南にある、四島だけ、返してください”
遠慮がちに、こんなことを言っていたのでは、
“わかった。じゃあ、二島返してやるから、それで、手を打とうじゃないか”
こうなってしまうのは、当然の成り行きでしょう。
アメリカにボロ負けし、足腰立たないほど、コテンパンにやられてしまったという特殊事情はあったにせよ、もしも、インド人なら、ボロボロにされながらも、きっと、ソ連に、こう言っていたと思います。
“あんたたちは、約束(日ソ中立条約)を破ったんだから、我々に、シベリアとカムチャッカ半島を譲りなさい”
物売り的な感覚で言わせてもらえば、まず、最初の言い値が、低すぎたと思います。
四島を本気で取り返すつもりなら(私は千島全島返して欲しいんですが)、外務大臣を、インド人にする必要があるでしょう。


「もう、いいかげんに払ったらどうなんだ。私は、そろそろ帰る時間なんだから」
呆れ顔で、係官も、ぼやき始めましたが、私も負けずに、言い返します。
「あなたこそ、いいかげんに許してくださいよ。私は、こんな金は、払いたくないんですから」
「うーん・・・・、だったら、いくらなら、払うんだ?」
(しめた!)
と思いましたが、ここで、あっさり釣られてしまうと、合意額にも響きます。
「いや、私は、一銭も払いたくないんですよ。他のファランは、全員素通りなのに、どうして私だけ、払わないとダメなんですか?」
粘りに粘る私に、係官は、
「よし、じゃあ、2000バーツにしよう。これなら、いいだろう」
いよいよ、痺れを切らせたように、自分から値段を下げてくれましたが、新たに提示された額が、依然として高いと感じた私は、
「2000バーツだなんて、そんな無茶な。いいですか、ピー。私には、5人も子どもがいる上に、年老いた女房のお父さん、お母さんの面倒まで、みなければならないんですよ。
しかも、女房の、お父さんっていう人が・・・・・、
この前も、隣りのマッサージ屋の主人と険悪になちゃって・・・・、
私は昔から、あの人の尻拭いばっかり・・・・・・・・・・・、
ああだ、こうだ・・・・・・・・・・・・・・、
なんだ、かんだ・・・・・・・・・・・・・、
どうだら、こうだら・・・・・・・・・・・・・」
どうでもいいような身の上話を、延々と繰り返します。

値引きしてやったというのに、まるっきり、埒があかず、少し怒りの表情も見える係官は、
「ええい、じゃあ、1500バーツだ。さっき言った、3000バーツの半分だぞ。これなら、文句あるまい。さあ、払ってくれ」
観光客が、プーケットで物を買うときには、
“言われた値段の半分に値切れ”
が常識になっていますから、この係官も、今度こそ、決着がつけられると思っていたことでしょう。
しかし、私は、それを聞くなり、ガックリと、うな垂れ、
「1500バーツ・・・・。1500バーツも、取られたんじゃあ・・・・」
自分が、いかに困ってしまうのかを、長々と説明し、最近の物価上昇の激しさや、景気の悪さ、商売の大変さを、一通り嘆いた後、ついでに、子育ての難しさや、女房に対する愚痴、しまいには、隣りに引っ越してきたイタリア人の悪口まで付け加え、
「家じゃあ、みんなが、私の帰りを待っているというのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・。みんなが、私のお土産を待っているというのに・・・・・・・・・・・。娘も、息子も、お父さんも、お母さんも、女房も、みんが、待っているというのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ああだ、こうだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだら、かんだら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へんだら、はんだら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんだら、こんだら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
さらに、時間がダラダラと流れ、相手からのリアクションも、だんだんと少なくなっていきました。
「ピー、誰も、いなくなっちゃいましたねー。私は、いったい、いつになったら帰れるんでしょうか」
だったら、すぐに税金払って、帰ってくれよ!
と、この人は言いたかったかもしれませんが、私は責任を、すべて相手に擦り付けて、悲しげな表情で、
「ルークサオ(娘)は、明日学校だから、そろそろ寝ないと、いけない時間だなあ・・・・・」
そうポツリと、呟きました。
“意地悪な係官のおかげで、家に帰れない可哀想なお父さん”という状況を、改めて強調したのです。

「わかったー。じゃあ、あんたは、どうしたいっていうんだ?」
かなり相手も苛立ってきましたから、ここらが潮時かもしれません。
私は、実に無念、という表情を作り直して、こういいました。
「うーん・・・、500バーツなら・・・・、仕方ないですかね」
私の返事を聞いて、しばらくは、
「それは無理だ」
と繰り返していた係官でしたが、早く幕切れにしないと、また、私の身の上話が始まってしまうと恐れたのか、ついに、こちらの条件を飲んでくれました。
「よし、500バーツだ。とっとと払って、帰ってくれ」
内心は嬉しかったのですが、そんな素振りは微塵も見せず、私は悔しそうな表情で、ポケットから財布を取り出し、500バーツ札を一枚抜き取りました。
一応、最後は握手して別れましたが、私が出ていった後、もしかしたら、塩を撒かれていたかもしれません

プーケット旅行を考えている、みなさんも、空港の荷物検査は覚悟しておいてください。そして、もし、税金を取られそうになったら、時間のある人は、粘れるだけ、粘ってください。
ただし、絶対に怒ってはいけません。
この国では、怒りを表に出すことは、逆効果になってしまいます。笑顔と悲しみ、その中に、不満を、ちょっと滲ませて、辛抱強く、
「自分が、いかに可哀想な存在であるか」
を、こんこんと説いてください。そうすれば、人から悪く思われたくない、心優しきタイ人は、きっと、あなたの立場に、理解を示してくれるはずです。
何年か経って思い返せば、プーケット旅行一番の素敵な思い出になっているかもしれませんよ。
[PR]
by phuketbreakpoint | 2008-12-31 10:57

四の五の言うぞ!

最近、日本から、プーケットに戻ってくる度に感じることがあります。
以前は、ほとんど、ノーチェックだった空港の荷物検査に、ここ1、2年、やたらと引っかかることが多くなりました。
人相が急に悪くなったわけでもないと思うのですが(たぶん)、ほぼ毎回、荷物を調べられます。
私の前後を歩く白人客は、みな素通りで、フリーパスですから、
「オレだけ、どうして?」
と思って、周りを見てみると、引っかかってはいるのは、全員日本人でした。
“日本人だけ、狙い撃ち”しているのは、間違いないでしょう。

これには、いろいろと理由が考えられますが、まず、日本の旅行者は、食べ物を持ち込んでくる人の割合が多いからだと思います。
「ふだん、あんまり、食べられないだろうから・・・」
そんな気遣いで、海産物等を、ドライアイスと一緒に、パックに詰めて、在住者に、お土産として持ってきたりすると、
「待ってました」、とばかりに止められてしまいます。

また、日本人は、子どもの頃から、
「四の五の、言うな!」
「言い訳するな!」
親や先生から、散々言われて育っていますから、他人に、ああだこうだと説明することを、潔しとしない性質があると思います。
「なんか、納得いかないなあ・・・」
と感じていても、
「まあ、いいか・・・」
相手の言い分を、あっさりと認め、言われたとおりの税金や、罰金を、すぐ払ってしまう人が多いのでしょう。
しかし、杓子定規の日本国と違って、タイ王国の場合は、情状を酌量して、減刑してもらうことは、充分に可能なことだと思います。


「はい、ちょっと、カバン開けて」
飛行機を降りて、荷物を受け取り、到着ロビーに出ようとしていた私は、出口の手前で、係官に止められました。
(またかよ。もう、めんどくせえ)
と思いながらも、バッグを開けて、中を見せると、係官は、一番下に入っていたプロテインの袋を見つけ、
「何だい、これは?」
と、聞いてきます。
「プロテインですよ。ウエイトトレーニング、やってるんです」
私が、答えると、
「プロテインねえ・・・・。いくらくらいするの、これ?」
「日本じゃあ、1000バーツくらいですよ」
私は、実際の価格より、少なめに申告したのですが、
「ダメだな、これは。持ち込むには、タックス(税金)を払ってもらわないと。ちょっと、あんた、こっちに来て」
と、奥の事務室に連れていかれてしまいました。
「誰だって、外国に行けば、ちょっとした買い物くらいするでしょう」
私が不機嫌な表情で、そう言うと、
「いや、これは課税対象品だから、払ってもらわないとダメだよ」
と、この係官も譲りません。どこの国にも、関税制度はありますから、この人の言っていること自体は、正論かもしれませんが、日本人だけを狙い撃つようなやり方には、大いに不満があった私は、すんなり認める気にはなれませんでした。

しばらく押し問答が続き、相手も、強気の姿勢を崩そうとせず、
「とにかく、払わないとダメ」
と、一歩も引こうとしませんでしたから、私も、タダで済ませることは、難しいと感じてきました。こうなったら、条件闘争に切り替えた方が、いいかもしれません。
この係官も、自分が狙った、獲物から、何も取れなかったとなれば、面子に関わる問題でしょう。
「じゃあ、いったい、いくら払えって、いうんです」
私が尋ねると、彼は、規制品目一覧表のようなものに目を通した後、ちょっと考えて、改まった表情で、こう答えました。
「3000バーツだな」

お金に関する交渉ごとでは、いつ、いかなる場合でも、
“相手に、先に値段を言わせる”
タイ生活15年の間、私は、これを守ってきましたが、このときは、相手から言われた値段が、私の想像していた額よりも、ずいぶん大きかったことに動揺していました。
(さて、どうやって、値切ればいいものか・・・)
「ピー(年上や、目上の人を呼ぶときに使う言葉)、私は、無趣味な人間で、毎日、一生懸命働いて、唯一の娯楽が、ウエイトトレーニングなんですよ。せっかく、日本に行ったんだから、せめてプロテインでも、買って帰ろうと思って、持ってきたのに、それを、あなたは課税するんですか?」
とりあえず、泣き落としで、攻めることにしました。

「そうそう、来週は、女房の実家のある、ラノットに行かなきゃならないし、ガソリン代も、どんどん高くなちゃって・・・」
わざと女房の出身地を出したのも作戦の一つで、もしも、相手が同郷だったりしたら、それだけで無罪放免になってしまうのも、タイでは、よくある話です。
しかし、この係官は頑なで、相づちも打ってはくれませんでした。
人情を知らない奴だ、と思いながらも、私は話を続けます。
「ピー、私は、子どもが、5人もいるんですよ。
上は大学生、下は小学生、日本にも二人、勉強に行かせてるんです。お金は、いくらあっても足りませんよ。
せめて、体力だけは維持しようと思って、ジムに通い始めたのに、最近、怪我が多くてねえ。プロテインで体調維持しようと思って、なけなしの金で、日本から買ってきたんですよ。お金だって、もう残っていません(と言いながら、財布の中身を見せる私)」
ぜんぜん、関係のない話題を持ち出して、話をはぐらかし、自分のペースに巻き込んで、ごまかしてしまう、というのは、女房のラントムが、いつも使っている手口ですが、これはタイでは、かなり有効な方法だと思います。

「そうそう、このお菓子(手さげ袋に入れていた、御煎餅を取り出しながら)は、女房のお父さん、お母さんの大好物でねえ。この飴は、一番下の娘が買ってきてっていうから、ずいぶん探しましたよ。
それと、女房には、日本のママー(インスタントラーメン)、これ美味しいんですよ。あとは・・・・・・・・・・・・」
ダラダラと、こんなことを喋っているうちに、ずいぶん時間も経っていたようで、人で溢れていた荷物受け取りのフロアーも、ガラーンと静まりかえっていました。
「じゃあ、休憩行ってきまーす」
同僚の係官も、次々に姿を消して、とうとう、私と、この男性の、2人っきりになってしまいました。男性の顔には、はっきりと、
「面倒な奴を、呼び止めてしまった・・・」
と書いてありましたが、私は、別に慌てる用事もなかったことから、なんとか粘り倒して、課税額を抑えようという決意に燃えていたのです。

この話続きます。
[PR]
by phuketbreakpoint | 2008-12-21 19:34