タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
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「女達は、ボクのことを、『ひ弱な坊や』と、バカにした」
「そこで、ボクは、ブルーワーカーⅡを、試してみた」
「見る見る、効果が表れた」
「今では、もう誰も、ボクのことを、バカにする者はいない(熱い視線で、逞しくなった少年を見つめる、セクシーな美女)。さあ、君も、今日から始めよう!ブルーワーカーⅡ」
1970~1980年代にかけて、当時の漫画週刊誌や平凡パンチ、週刊プレイボーイなどを捲ると、必ず、この手のインチくさい広告が載っかっていたものです。

中学時代の同級生・青木君は、こういった通販物が大好きで、如何わしい業者が、手を替え、品を替え、次々に送り出してくる、新手のダマシ商品を購入しては、みんなから、バカにされていました。
「これさえあれば、すぐにムキムキ!」
そう真顔で語っていた青木君でしたが、結局、ブルーワーカーⅡの話題が彼の口から出たのは、このときが、最後になってしまったようです。
あの後、ちゃんと使ってたんでしょうか。

ブルーワーカー以外にも、
「モテる男の決め手!背がどんどん高くなる、川畑式長身法」だとか、
「今日から、メガネ不要!自宅で短期に近視が治せる、樫尾式近視治療法」だとか、薬事法に真っ向から挑戦するような、画期的な肉体改造の新方式が、3900円といった、子どものお小遣い程度の値段で買えてしまうわけです。
「たぶん、インチキなんだろうなあ・・・」
と、薄々判ってはいるものの、
「でも、もしかしたら、本当かも」
そう思わせるところがミソで、ついつい、その気になって買ってしまうと、
「くそー、やっぱり、インチキだったか」
と、悔しい思いをすることになります。それでも、被害にあったのが3900円ですから、
「まあ、仕方ないか・・・」
と、諦めてしまう人が多いようで、こんな商売でも、問題化することはありませんでした。

私の女房ラントムも、流しのセールスマン(訪問販売)の口車に乗せられて、よく、使いもしない、しょうもない機械を買わされては、お金を無駄にしていました。
「これを使えば、清潔で美味しい水が、ほら、こんなに簡単に!」
「1日わずか10分の着用で、見る見るスリムに!夢のダイエットスーツ、遂に完成!」
「どんな料理でも、素早く、手軽に、美味しく作れる魔法の電気なべ・4点セット。今なら、特価で3500バーツ!」
どれも、これも、ほとんど使ったためしがなく、そのまま忘れ去られて、気がつくと、年末恒例の日本人会・忘年会バザーに出品され、会場で働くタイ人スタッフに、買っていかれる運命にあるのです。
ちなみに、魔法の電気なべセットは、何日か経ってロータスで見かけたら、1990バーツで売られていました。

かくいう私も、若い頃は、ラントムに負けず劣らず、様々な、「うまい話」に飛びついては、痛い目にあってきました。
大学一年生だった初夏、「ホットドックプレス(インチキ記事、特にセックス系のデタラメ記事で有名だった当時のヤング雑誌)」の新島特集を読んで、愚かにも、離島ツアーに参加してしまったのが、その最たるものだったと思います。

暗い青春よ、さらば!夢のナンパ・パラダイス新島がキミを待つ!!
表題からして如何わしい、特集号の内容は、絵に描いたような、見え見えの煽り記事ばかりでしたから、今だったら、冷静に疑ってかかることもできたと思いますが、なんせ、当時は、欲望の赴くままに動いてしまう年代でしたから、いとも簡単に、騙されてしまいました。
「新島かー、面白そうだなあ・・・、行ってみたいなあ・・・、おい(やはり、パッとしない青春を送っていた大学の仲間たちに向かって)、ちょっと、みんなで行ってみないか」
ついつい、そんなことを考えてしまったのです。
私たちは、繰り返し、繰り返し、同じ特集記事を何度も読み返しては、夢を膨らませていました。

「新島が、いかに凄いところなのか・・・、それを、言葉で言い表すことは、本当に難しい。『百聞は、一見に如かず』、とは言うものの、まずは、実際に、この島に行った経験のある、体験者の話に耳を傾けてみることにしよう。昨年の7月、ここを訪れたという、サーファーのA君(十九歳、S大二年)は、赤裸々な体験を我々に語ってくれた」
本当に実在するか、どうかも疑わしい人物の証言が、「いかにも」といった内容で、続いていくのですが、これに、中立的な立場を装う編集者兼ライターが、絶妙なタイミングで突っ込みを入れると、妙に真実味を帯びて、読者である若者の心を、くすぐってしまうのです。

「ボクも新島に行くまでは、耳にした噂が、あまりにも凄かったので、とても信じられなかったんですが・・・・」
「最初は、なかなか口を割ろうとしなかったA君だったが、本誌記者が執拗に食い下がると、ようやく、重い口を開いてくれた」
「本当に、ここだけの話にしてくださいよ・・・」
「彼は、何度も我々に、そう釘を刺していたのだが、その理由を聞くと」
「だって、噂が広まって、モテない男がワンサカと押しかけでもしたら、せっかくの男女バランスが崩れて、あんな凄いことには、ならないでしょうから・・・」
「男女バランス?」
「ええ、昨年までの新島は、訪れる男女の比率が、3:7だったんですよ」
「3:7・・・?以前から、新島の凄い噂は耳にしてはいたが、まさか、そこまでだったとは・・・。果たして、この話は本当なのだろうか?」
「はい、紛れもなく、真実です(この言い切りが凄い!)。それも、最近、男が急に増えて、ようやく、この比率になったんです。毎年、新島に通っている先輩の話なんかを聞くと、ちょっと恐ろしくなりますね。いくら、男が飢えた動物だとしても、そこまでは、無理なんじゃないかなあって・・・」

過激な表現を使って、読者をその気にさせ、最後は、思わせぶりなセリフで特集を締めるのが、お決まりのパターンです。
「いやはや、それにしても、何とも凄まじい、想像以上の乱れっぷりだが、やはり、A君も心配するように、物事には、旬というものがあるのも事実だ。せっかくのパラダイスも、時期を逸してしまえば、もう二度と、こんな凄い経験をすることもないだろう。
そこで、ズバリ、本誌は提言しよう。ハッキリ言ってしまえば、チャンスは、今年以外にはない!今を逃せば、もはや、新島は、どこにでもあるような、『ただの離島』でしか、なくなるだろう。
さあ、キミも、このチャンスを逃してはいけない。今すぐ、ツアーに参加しよう!行ってみよう!文字通り、これは早い物勝ちなのだ!!!」
毎号のように組まれる特集記事の構成は、だいたい、いつも同じようなものだったのですが、どういうわけか、コロッと騙されてしまいます。当時、記事を書いていた人は、本当に才能があったんですね(いつも、こんな手で、騙されるてしまう方も悪いのですが)。

プーケットは今、ハイシーズンの真っ盛りですが、日本人旅行者の姿を見かけることは、それほど多くはありません。インド洋沖大津波から丸三年以上が経過し、こんなことでいいんでしょうか。
こうなったら、プーケットも、国際的ビーチリゾートの面目に賭けて、徹底的に煽りまくり、日本国の人たちを、騙くらかして・・・、いや、その気にさせて、未だに完全回復しない日本人観光客を、ドバッと呼び戻そうじゃありませんか!新島なんかに負けてちゃあ、いけませんよ。
私は、プーケット在住日本人を代表し、宣伝担当大臣就任を、勝手に宣言させていただきます。

「プーケットが、いかに凄いところなのか・・・、それを、言葉で表現することは、本当に難しい。『百聞は、一見に如かず』、とは言うものの、まずは、実際に、この島に行った経験のある、体験者の話に耳を傾けることも大切だ。昨年の11月、ここを訪れたという、サラリーマンのBさん(某大手繊維メーカー勤務、四十三歳)は、赤裸々な体験を、われわれに語ってくれた」
「本当に、ここだけの話にしてくださいよ・・・。だって、噂が広まって、日本から中年男がワンサカと押しかけでもしたら、せっかくの売り手市場が崩れて、あんな凄いことには、ならないでしょうから・・・」
「売り手市場?」
「ええ、プーケットの若い女性たちにとって、日本の中年男性は、憧れの的のようです(注、ウソです)。昨年、プーケットで実施されたアンケートでも、ハッキリと、その傾向が現れていました(注、これも、ウソです)。日本の中年男性と結婚したいと望む若い女性は、八割を超えているようですよ(注、完全にウソですから、真に受けないでください)!」

「八割・・・?以前から、プーケットの凄い噂は耳にしてはいたが、まさか、そこまでだったとは・・・。果たして、この話は、本当なのだろうか?」
「はい、完全に真実です(ウソつき!)。それも、最近評判を落とすような男が急に増えてきたので、ようやく、この数字に落ちてきたんです。ちょっと前なら、95パーセントを超えていたんですから・・・。とは言うものの、モテ過ぎるというのも、困った問題ですね。私も、最近、精力が減退気味で、これ以上は、肉体的にも無理がありますから・・・。まあ、嬉しい悲鳴とも、言えますけど」
「いやはや、それにしても、何とも凄まじい実態だが、やはり、Bさんも心配するように、物事には旬というものがあるのも事実だ。せっかくのパラダイス・プーケットも、時期を逸してしまえば、もう二度と、こんな凄い経験をすることもないだろう。
ズバリ、本誌は提言しよう。チャンスは、今年以外にはない!今を逃せば、もはや、プーケットは、どこにでもあるような、『ただの、ビーチリゾート』に、なってしまうだろう。
さあ、貴方も、このチャンスを逃してはいけない。今すぐに、ツアー会社に走ろう!申し込もう!プーケットに行ってみよう!ついでに、会社も辞めてしまおう(早まっちゃあ、ダメですよ)!文字通り、これは早い物勝ちなのだから!!!」

煽りに、煽った後、記事の最後は、もちろん、この広告で締めます。
「女達は、ボクのことを、モテない男とバカにした」
「そこで、ボクは、プーケットツアーに参加してみた」
「見る見る、女が群がった!(半分ホントだ。金目当てですが・・)」
「今では、もう誰も、ボクのことを、バカにする者はいない。さあ、キミも参加しよう、プーケットツアーⅡ!!」
ついでに、もう一丁。
「ボクは、目標のない人生を送っていた」
「そこで、ボクは、プーケット補習校で先生をやりはじめた」
「素晴らしい校長と、生徒たちに出会った」
「それからというもの、やることなすこと、すべてが、うまくいくようになった(ホントか?)!さあ、キミも今日から参加しよう!プーケット補習校Ⅱ!!」
お待ちしております。
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by phuketbreakpoint | 2008-02-24 14:54

レストランバトル2

忙しいときの飲食店は、戦争のような趣がありますが、怒涛のように攻め込んでくる敵(お客さん)を迎え撃って、最後まで陣地(お店)を守り通すには、それなりに作戦をたてて、陣形を整え、隙を作らないようにしなければなりません。

例えば、店頭からスタッフが、2-3人奥に引っ込んできます。
このとき、誰も、お店の前にいなければ、空白地帯ができてしまいますから、手が空いている誰かが、そこを塞いでおかねばなりません。誰も手が空いていなければ、私が自分で、店頭に進出します。逆に、店内が手薄になったときは、誰かを行かせるか、自分で下がるか、要するに、全体のバランスを取らねばなりません。

すべての戦術、作戦の中で、何よりも大切なことは、
「お店全体が今、どういう状況なのか」
という意識を持ちながら、各自が働いているか、どうかだと思います。
今のメンバーは全員、これができていると、私は評価していますが、常連のお客さんからは、ときどき、
「アンタのいない昼間には、みんな働かないで、サボってるぞ」
そんな忠告を受けることもあります。
しかし、プーケットで生きてきた14年間の経験をもとに言わせてもらえば、お店が最も忙しい夜間に、私の見ている前で、しっかりと働いてくれるのなら、それだけでも、善しとしなければなりません。
限度というものもありますが、陰日向があるのは誰しも同じですから、私のいないときにまで、忠誠を誓って、バリバリと働き続けてくれ、などと、無理な注文は、しないことにしています。

二年前、津波後、最初のハイシーズンでは、出遅れて、体勢が整っていないお店が多かったためか、ブレイクポイントには、溢れんばかりのお客さんが詰め掛けていました。
私も、スタッフに交じって、毎晩、忙しく動き回っていましたが、それにしても、あの年は、いくらなんでも、忙しすぎたシーズンだったと思います。連日、連夜、本当にクタクタで、いつひっくり返っても、不思議ではありませんでした。あのときは、それも仕方のないことだと諦めていましたが、二年経ってみて、冷静に振り返ってみると、当時のスタッフが、いかに、力をセーブし、手を抜いていたかが、今更ながら、よく判ります。
なんせ、お店の中で、一番動きがよく、積極的に働いていたのが、ホールの女の子ではなく、当時の名物ガードマン・エム君だったのですから・・・。

どの職種、職場でも、そうだと思いますが、知恵の回る人間なら、長くやっているうちに、うまく立ち回って、手を抜く術を覚えてきます。
当時、ホールでリーダー格だったジョーイは、チップをたくさんくれる、個人的に気に入られているお客さんだけを優先的にサービスし、もらったチップの大きいお札は、みんなと分配しようとせず、こっそりと、自分の懐に入れていました。そして、店内が混み入ってきて、一人で何人も、オーダーを取らねばならないような状況になっても、
「私の担当は、このテーブルよ」
というスタンスを、決して崩そうとはしませんでした。これは、アメリカンスタイルのやり方で、予め決められているポジション(彼女が自分で決めちゃうんですが)以外は、他がどんなに忙しくても、無視するというやり方です。変形のマンツーマンディフェンスとも、言えるでしょう。
一年を通して、万遍なく、お客さんがいるのなら、こういったやり方も、可能かもしれませんが、ローシーズンのことも、心配しなければならないプーケットでは、余剰人員は、できる限り、雇いたくないという経営側の判断は、仕方のないものだと、私は考えます。

ですから、彼女は、もっと早い段階で、切っておかねばならなかったのですが、慢性的な人手不足が既に始まっていたパトンビーチでは、
「こんな子でも、いないよりはマシか」
と、我慢するしかありませんでした。
そして、こういう子の存在を、ボスが認めてしまうと、他の子にも、どんどん、伝染していきます(腐ったミカンの方程式だ!)。ぺム、ダーオ、オーイ、ケイ、みんな、右に習えと、同じようなやり方で、働くようになってしまいました。

たとえば、勘定を済ませ、席を立つお客さんと、新しいお客さんが、たて続けに、8テーブル入れ替わったとしましょう。ハイシーズンには、こんなことも、よくあるのですが、このとき、
「私は、1テーブルだけしか、オーダーは取らないわよ」
もし、ホールにいる四人のスタッフが全員、そう考えてしまうと、残りの四つを、私が、すべて面倒を見なければなりません。しかも、その間、できた料理を運んだり、食べ終わったお皿を片付けたりも、同時にしなければなりませんから、これでは、とても追いつかなくなってしまいます。

逆に、
「お客さんが、たくさん入ってきたから、このテーブルのオーダーを早く取って、次に回ろう」
こう、みんなが考えてくれるなら、4X2で、私は動く必要はありません。
本来なら、私は司令塔として、できるだけオーダーを取らず、手の空いた状態で、全体の様子を見ながら、指示を出さねばならないのですが、あのときには、それが分かっていたにも関わらず、全然できませんでした。各人が、お店全体のことを考えず、少しでも、楽にやろうという意識で、働いていたからだと思います。

このとき、キャッシャーを手伝っていた長女マヨムの話では、ジョーイは、毎日出勤するや、お店のコーヒーを無断で飲みながら、ゆっくり髪を梳かして、身づくろいし、仕事の合間に、のどが渇くと、勝手にアイスボックスを開けて、ジュースの栓を抜いて、どんどん飲んでいたようです。
「パパ、あの女は、早くクビにしないと、ダメだよ」
よく、マヨムが、こういって忠告してくれましたが、
「まあ、そういったことは、どこの飲食店でも、あるからなあ・・・」
私は例によって、悟りを開いたようなことばかり言って、特に問題にすることはありませんでしたが、結果を見れば、やはり、マヨムの判断の方が、正しかったようです。

私が必要以上に辛抱してしまったためなのか、仕舞いには、従業員のコントロールが利かなくなってしまいました。
「早く持って行かないと、アイスクリームサンデーが溶けちゃうわよ。ダーオ、2番テーブルまで、持っていってちょうだい」
店内が大変混み合っていた、ある夜、ラントムが、こう命じると、彼女は、食って掛かるように、
「どうして、私ばっかり」
と、面と向かって、はっきりと拒否しました。それまでは、言いたいことがあっても、ずっと堪えていた私も、ラントムも、これで完全に切れて、この日限りで、彼女のクビを切りました。
今振り返ってみれば、こういう状況になる前に、元凶であったジョーイを、早い段階で見切りをつけ、一時的に、多少困ったとしても、次の人が見つかるまで耐え忍ぶ、という方法がベストだったと思います。


開店以来、綱渡りの連続で、いつ奈落の底に落っこちても、不思議ではありませんでしたが、なんとか、ここまで続けてこれました。
最近は、本業以外でも忙しく、それは、それとして充実してはいますが、やはり、毎日の生活の中で、核となっているのはブレイクポイントですから、これを、どうやって守っていくか・・・。
「石に噛り付いても、頑張っていきたい」
とは、思いますが、タイの石は、ヌルヌル、ネチョネチョして、掴み所がないというのが現状なのです。
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by phuketbreakpoint | 2008-02-11 11:55