タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
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<   2007年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧

「美味いっすねえ、この肉。でも、どうしてこんなに、薄っぺらいんでしょうねえ。ボーイさーん、お酒、お酒っ、どんどんシーバス持ってきてちょうだーい!」
神戸牛のおかげで、すっかりご機嫌になった私は、もしJCCのみなさんがいなければ、歌でも歌いたいような気分になっていたのですが、会場では、当日開催されたゴルフコンペの表彰式が行なわれていたようです。気がつくと、山口さんがコンペ準優勝の表彰を受けていました。接待役が勝っちゃっていいんでしょうか?

高級牛肉とシーバスに夢中になり、会場で何が行なわれているか、まったく眼中になかった私の横で、今年度から新しくJCC事務局長に就任した井上さんが、
「それでは、プーケット補習校、西岡校長に一言、御挨拶をお願いしまーす」
と突然、振ってきました。
「挨拶・・・・だって?」
狼狽する私よりも先に、トヨタの社長さんが前に出てきてしまいましたから、もう逃げ道はありません。
「えー・・・・・・、昨年いただきました・・・・・、えー・・・・・スクールバスは・・・・・・、えー・・・・・」
何が言いたいんだか、さっぱり、わかりません。せっかく高級酒で盛り上がっていたのに、いっぺんに酔いが醒めてしまいました。

ようやくのことで挨拶を終えて、席に戻ってきた私に、追い討ちをかけるように、隣に座っていた山口さんが声をかけてきます。
「西岡さん、JCC一行の補習校視察、明朝8時半の予定ですから、よろしくお願いします」
「8時半ですか?」
なんという、ハードなスケジュールなんでしょう。さすが経済界の方たちは、こんな南の島に来ても、分刻みのスケジュールに追われているようで、宴会の翌日に、朝っぱらから補習校視察だそうです。

私がサラリーマン時代、義理で会社から参加させられた宅地建物業協会(早い話が不動産屋さんの親睦団体)の慰安旅行でのこと、コンパニオンと真夜中まで、ドンチャン騒ぎで飲み続けたその翌日、朝食に、ビールが出てきたときは腰を抜かしそうになりましたが、さすがにJCCともなると、そんな無茶をやる人は、1人もいないようです。

8時半という時間自体は、どうってことありませんが、その前に、教室の最終確認と、掲示物の張り替えがあります。少なくとも、一時間前には到着しなければなりませんから、六時半の起床ですね。
すると、今度は左隣の正美さんが、
「そうそう、西岡さん、スクールバスも、お見せしたほうがいいじゃないですか」
なんて言い始めました。確かに、昨年12月に頂いたトヨタのミニバスを、運用報告も兼ねて、現状をお見せすべきなのは当然なんですが、はたして、見せられる状態なんでしょうか。教室の掃除に気を取られ、すっかり忘れていましたが、あの車、新学期開始以来、一度も洗ってないような気がします。
こりゃあ、5時半起きですね。

そして、翌朝です。
午前6時50分、まだ寝床でウトウトやっていた私の脳内で、ミッションのテープが作動します。
「警告!警告!ターゲット(JCC一行)到着予定時刻まで、後一時間四十分、すぐに現場に急行せよ!すぐに現場に急行せよ!警告!警告!・・・」
ハッと飛び起き、時計を見ると、なんと・・・・。
「きよみ、大変だ、すぐに起きて!学校いくぞ」
5時半起きの予定が、1時間半も寝坊です。

着替えを済ませ、レストランのつり銭を用意し、前日と、まったく同じ服、同じ靴下、同じブリーフを身にまとって、私は、きよみと共に車に飛び乗りました。
恐らく一行は、7時から8時までが朝食、それからロビーに集合し、バスに乗ってくるわけですから、八時半ジャストには、来ないはずです、たぶん・・・。

しかし、これでは、スクールバスの掃除をやる時間はありません。
「とりあえず、事務局入り口のパネル張り直しと、三階教室の飾りつけのチェックをやって、時間があれば、ミニバスを軽く拭いて・・・、いや、やはり、ミニバスが先か・・・?」
そんなことを考えながら、運転していたら、雨がポツリ、ポツリと降ってきました。このまま、ザーザーと大雨になってくれれば、スクールバスの件は、一件落着なんですが・・・。

午前7時50分、目標地点(補習校)到着。
<ターゲット到着予定時刻まで、あと40分>
車を降りた私は、横目でチラリと、スクールバスの方向に視線を向けます。
パッと見た感じでは、それほど汚れているようにも見えません。
「しめた!これなら、間に合うぞ!」
私は、A&Aツアーの事務所に勢いよく飛び込み、二階の事務局に入って、雑巾を三枚もって下りてきました。

午前8時00分
<ターゲット到着予定時刻まで、あと30分>
先程の雨は、もう上がっていましたが、車体が適度に湿っていて、実に、ふき取りやすい。私は、10分ほど時間をかけて、ミニバスのボディーを、まんべんなく、二度ふき取りました。
「よし、これでOKだ」

午前8時10分
<ターゲット到着予定時刻まで、あと20分>
このペースなら、間に合うかもしれません。私は、階段を上っていきます。ところが・・・・・、
「いかん、床が汚い」
前々日の土曜日、二階の事務局から三階までは入念に掃除しましたが、一階のA&A店舗から事務局に上がるまでの階段が汚れたままです。私は、すぐにホウキとチリトリを持ってきて、掃除を始めました。

午前8時18分
<ターゲット到着予定時刻まで、あと12分>
多少ロスタイムがあるとは思いますが、その保障はありません。
今度は、二階事務局入り口のパネル張りです。まず、両面テープを探して・・・・・・ありました。
ここで、すでに1分30秒経過。
焦らない、焦らない・・・、もう、やり直しする時間は残っていません。両面テープを切断し、パネルの裏面に四カ所貼り付け、これを、入り口のサッシの中央に・・・・、作業終了です。
さらに、1分が経過しています。

さあ、いよいよ三階です。
<スクールバスありがとう>パネルから、脱落した部分は、「ク」「ル」「ス」「り」「と」の5文字ですが、果たして全部揃っているのでしょうか。もし足りなければ、作ってくれた子どもたちには申し訳ありませんが、全部まとめて廃棄したほうがいいでしょう。

まずは、「ク」を探します。
「・・・・・・・っと、あったー!。ほう、将太くんか、これ書いたの・・・」
んでもって、次は、
「ル、ル、ル・・・・・、おっ、あったぞ。これは勇樹くんかな・・・」
海夢ちゃん、和美ちゃん、ゆきくん・・・、こうやって、1枚1枚見ていくと改めて感じますが、みんな本当に大きくなったものです。ついこの間まで、幼児部でピーピー泣いていたはずなのに、もう小学校2年生ですか・・・。習字も、上手に書けるようになりました。

補習校も、今年の9月で、丸7年になります。準備校時代から数えると、そろそろ10年ですね。当時幼稚園だった子が今、日本の高校で勉強していたりするわけですから、私も、年を取るはずです。
「みんな、どんどん、大きくなっちゃうんだなあ・・・・」
そんな感傷的な気分に浸っていたら、突然携帯電話が鳴りだしました。山口さんからです。
「西岡さん。そろそろ着きますからね。準備、お願いしますよ」
「ラジャー(了解)」

午前8時38分
<ターゲット到着、迎撃体制を完了せよ>
髪型を揃えて、襟を直し、目やに、耳くそ、鼻くそ、よだれ、全部指でチェックして、ズボンを一旦下ろし、ブリーフを調え、ブリーフに引っかかっているタマの皮も中にしまって、ズボンを上げてベルトを締めます。前日から穿きっぱなしのブリーフには、もしかしたら、ウンコ、オシッコが付いているかもしれませんが、外から見えなければ問題はないでしょう。

「よし、もう下に降りたほうがいいだろう」
すべて予定通り、準備は完了です。
二階におりていくと、JCC一行が事務局に入ってきました。
「お早うございます。本日も、よろしくお願いいたします」
朝っぱらから、キャバレーの呼び込みのような威勢のよさで、私は、一行を出迎えました。
トヨタ自動車、三井物産、丸紅、住友商事、三菱銀行、日本航空、全日空・・・・・圧倒されるような大企業ばかりです。

前日の教育部会との話では、われわれプーケット補習校に対する援助額は、今年度は10万バーツ引き上げられ、合計40万バーツ(日本円で約150万円)に増額される予定だそうです。
本来なら、そのお金は、タイのために、タイの子どもたちのために使われるべきものなのかもしれません。それによって、日系企業が、この国で行なうビジネスを円滑に進めることができる、という意味合いもあるわけですから。

補習校で勉強した子どもたちが、近い将来、日本や、タイの社会に羽ばたいていくことでしょう。彼らがどんな道を選ぶのかは、もちろん自由ですが、これだけは忘れないでほしいと思います。
多くの人たちの協力があって、この学校が運営されていたことを・・・。そして、
「あのとき、先生、あんなこと言ってたなあ・・・・」
そんな記憶に残る何かを伝えることができるように、私は、頑張っていこうと思っています。
いつの日にか、きっと、大人になったこの子たちが、今度は、次の世代の子どもたちを支援してくれる日がくることを期待して、この日の、私のミッションを終えることにしましょう。
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by phuketbreakpoint | 2007-07-07 11:01

今年も来ましたJCC

「西岡さん?今年も、バンコクから商工会(JCC)が来ますから、学校案内と親睦会への出席、よろしくお願いします」
土曜日の夜、日本人会・会長の松本さん(仮名)から電話が入ってきました。

松下さんの話を要約すると、今回の私の使命は、以下の3点です。
1.JCCからプーケット補習校が受けている年間30万バーツの資金援助を、今年も継続してもらう。
2.昨年JCCから頂いたスクールバスのお礼と、現在の運用実績について説明する。
3.補習校の現状、および将来像を、JCCの教育部会メンバーに説明する。
「くわしいことは、山口さんから聞いてください。じゃあ、よろしく頼みますよ」
松本さんは、それだけ言うと、完成したばかりのボートに乗って、マラッカ海峡に旅立っていきました。

津波の後、補習校と日本人会は、様々な団体から資金援助を受けていますが、その中でも、バンコク日本人商工会議所、つまりJCCは、特別な存在だと言えるでしょう。
JCCのおかげでプーケット補習校にも、エアコンが設置され、コピー機が導入され、新校舎建設基金には、100万バーツちかいお金を積み立てることができました。
まさに、大スポンサー様です。

6月24日、日曜日、午後。
私は、まずタウンにある補習校校舎に向かいました。前日、生徒たちと一緒に、普段より時間をかけて入念に掃除しましたが、月曜日に予定されるJCC一行の補習校視察を前に、もう一度、最終確認したほうがよいと考えたからです。

階段を上っていくと、補習校事務局入り口の真ん前に、<JCCのみなさん、ありがとう>の黄色いパネルがゴロンと転がっていました。昨日、両面テープでくっ付けたはずですが、剥がれてしまったようですね。
三階に上がり、各教室を確認すると、今度は、床一面に、パラパラっと白い紙が散乱しています。昨日、あれだけきれいに掃除したのですから、ゴミが落ちているわけはありません。よく見ると、一枚に一字、習字で大きく書かれた、「スクール・バスありがとう」の歓迎文が剥がれ落ち、「ス」「ー」「バ」「あ」「が」「う」しか、残っていませんでした。

隣の教室でも、昨日付けておいた遠足の作文集のポスターが、床に寝転んでいました。
「こら、大変だ。付け直さないと・・・。セロテープじゃ、また剥がれちゃうから・・・、ガムテープ、ガムテープ・・・・、どこいっちゃったのかなあ・・・・」
そんなことをやっているうちに、どんどん時間は流れていきます。
気がつくと時計は、もう午後4時50分で、会合予定時刻が5時半ですから、そろそろ、JCC一行が泊まるモーベンビックリゾートに移動せねばなりません。

「仕方ない。続きは、明朝だ」
電気、エアコン、扇風機のスイッチを全教室確認し、戸締りして車に乗ったら、5時になってしまいました。
「急がないと、本当に間に合わんぞ」
この後行なわれる教育部会との会合は、プーケット補習校の今後の学校運営にとって、非常に重要ですから、遅れていたのでは話になりません。

エンジンを掛け、アクセルを踏み込み、私は、勢いよく車を発進させました。
とにかく、急がねばなりません。
「急げ、急げ・・・、何をやってるんだ前の車は・・・・。ええいッ、こうなったら追い越しだ、おらヨッと!」
「おっと待てよ、ここで曲がったほうが近道だぞ。ちょっと危ないけど、ホリャどうじゃ!」
「赤になっちゃったけど、構わん。30万バーツのためなら、行っちゃえ、行っちゃえ!」
「とにかく、急げッ!どんどん、飛ばすぞ、飛ばしまくるぞ!おらおらおらおら・・!」

僅か30分ほどの道のりで、追い越し禁止違反、車線変更禁止違反、信号無視、制限速度違反、一時停止違反など、数限りない危険行為、破れる限りの道路交通法違反を繰り返し、私は、飛ばしに飛ばし、急ぎに急ぎました。曲がりなりにも、学校の先生が、こんなことでいいんでしょうか。
カロン・ビーチ・モーベンビックリゾートの駐車場に滑り込んだとき、時計の針は、きっかり、5時30分を指していました。

はたして会場は、どこなんでしょうか・・・・!?
出発直前までかけて作成した資料を片手に、どこにあるかも分からない会場に向かって全力疾走しようとしているときでした。
タイムリーに、日本人会の会計で、この後、一緒に会合に出る予定の正美さんが旦那さんに送られてやってきました。
「あら、西岡さん、慌てなくてもいいみたいですよ。JCCの理事会、ちょっと遅れてるみたいですから」
・・・だったら、早く連絡してください。山のように積み重ねてしまった罪の数々を、どうしてくれるんですか!

1時間以上待って、私たちは、ようやく、会場の個室に案内されました。
まず、山口さんが、私が作った資料を基に、教育部会の方たちに説明していきます。それに対して、JCCの教育部会長さんが支援金の利用計画や、今後の補習校運営方針を問いただしてきました。
さあ、私の出番です。今日、喋らねばならないことは、冒頭に書いたミッション三原則ですが、実は、本当に言いたいことは、他にありました。

1.今年度は補習校として、設備投資や、大きな備品類の購入は考えていない。いただける支援金全額を来るべき補習校の新校舎建設のために、プールしようと考えている。
2.学校として、あるいは校長として、今、最も力を入れているのは、授業内容の充実である。新校舎に相応しいレベルの高い授業を実現したい。
3.そのためには、質の高い教師を揃えねばならない。それには、やはり、ある程度のお金が必要になる。外務省から頂いている講師謝金の増額は、どうすれば実現できるか、知恵を貸して欲しい。
私は、これだけは絶対に、今日喋ってやろうと考えていた3点を、予定通り教育部会の方々にお聞かせすることができたので、肩の荷を降ろすことができました。

教育部会との会談を済ませた私たちは、すぐに親睦会場に案内されました。
メインディッシュは、なんと神戸牛のステーキとローストです。神戸牛なんて食べたのは、何年ぶりでしょうか?しかも、用意されたお酒は、シーバスリーガルです。
朝からバタバタして、ろくなものを食べていませんでしたが、俄然、元気が出てきました。
さっそく、ウエイターのお兄さんをつかまえて、
「シーバスも、肉も、じゃんじゃん持ってきてちょうだい。肉は、1人1人前だけだって・・・?まあ、いいや。じゃあ、シーバス、じゃんじゃん、もってきて!」
グラス片手に、ご機嫌な表情でウイスキーを飲み続けていたのですが・・・・。

この話続きます。
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by phuketbreakpoint | 2007-07-01 08:00