タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
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ぜんぜん、話が違う!

「パパ、どの高校に入ればいいかなあ・・・」
珍しく、あきおが、勉強に関することで相談にきたので、私は、こうアドバイスしました。
「どこの学校って、それは、あきお自身で考えなきゃ。入ってから、どの程度頑張るつもりなのか、それによるな」
昔、浅草で働いていた頃、田嶋さん(当時50歳くらい)という、元ヤクザの上司がいました。この人の話は、いつも実体験に基づいていましたから、とても、ためになる内容が多かったと思います。
「渋谷の、○○組不敗伝説・・・?あのねえ、西岡君。そりゃあ、自分たちより、弱いもんとばっかり、やっていたら、負けんわね」
ヤクザの喧嘩に限ったことではありませんが、勝とうと思えば、方法は、2つあるということです。
努力して強くなるか、それとも、勝てる相手とやるかです。
「高校も同じだよ。一生懸命勉強して、ついていく気があるのか、それとも、ぶらぶらしていても、クビにならない学校を選ぶかだ。いい学校に入れば、勉強のできる子が多いから、当然、後が厳しいぞ。マヨムの高校時代を覚えてるだろ。宿題で、いつも追われていたからな」


プーケットの高校に入れると思い、パトンビーチに戻ってきた、あきおですが、やはり、年度途中での編入は難しかったようで、入試のある、3月まで待って、もう一度、高校1年生を、やり直すことになりました。
思惑は外れましたが、それでも、この時点では、
「来年は、問題なく入れる」
と、私も、ラントムも、信じていましたし、
「どの高校に、入るべきか?」
選択肢があると思っていたのです。入試まで、まだ、3ヶ月以上ありましたから、午前中は、パトンビーチの塾に通うことになりましたが、ラントムの知人の息子さんが、時間があるときには、家庭教師をやってくれるというので、お願いすることにしました。

「あきおは、3年以上、タイ語の読み書きを、やっていませんから、まずは、国語(タイ語)から・・・」
こちらの希望は言っておいたのですが、彼は、やる気満々で、英・国・数・社・理の全教科の参考書を買ってきた上に、勉強が終わったら、ビーチランニングのオマケまで付けてくれました。
「パパ、もしかして、これ、3月までやるの?」
あきおは、「もう勘弁してくれ」といった表情で聞いてきましたが、私は、
「いや、学校が始まるのは、5月だから、それまでだな」

そして、強烈な暑さが始まる3月、いよいよ、待ちに待った、願書の受付が始まりました。
「じゃあ、パパは、留守番、お願いね。あきおも、今日は大事な日だから、身だしなみは、ちゃんとしなさい」
ラントムと、あきおは、2人で、サットリー高校に向かいました。
「やれやれ、やっと、あきおも、高校に入れるか・・・」
長かった半年間を振り返りながら、私は、肩の荷を降ろそうとしていました。
ところが、午後になっても、2人は帰ってきません。
「遅いなあ・・・。何を、してるのかなあ・・・・」
と思っていたら、ラントムから、電話が入ってきました。
「パパ、何か話が変なのよ・・・・。うん・・・・、まだ・・・・、もう一度、お願いしてるところなんだけど・・・」
ラントムは、日本語とタイ語を交えて、私に説明してくれましたが、話の要点が今ひとつ、よくわかりません。
「ちょっと、ママ、ごめん。あきおと、代わって・・・」
こんなときは、やっぱり、日本語です。あきおが喋れるようになった意義を、改めて感じることはできましたが、話の内容は、仰天するようなものでした。
「ダメだよ、パパ。全然、話が違ってる。やっぱり、入れないなんて言ってるよ・・・」
「入れない・・・って、そんなバカな!この前、大丈夫だって、言ってたじゃないか。そうだ、副マネージャーは、何て言ってるんだ?そう・・・、この前、一緒に会った、あの人だよ・・・。
えーっ!・・・・・どこかに、いなくなっちゃったー!?
まるで、悪徳商法に引っかかったような気分になりましたが、これは、タイ人気質が、最悪の場面で発揮された結果だったのでしょう。

少ない事例や、風評、偏見などを基に、
「タイ人って・・・・」
と、全体を語るのは、おかしいというのが私の立場ですが、タイでは多くの人が、以下のような行動をとりがちなのは、間違いないでしょう。

・状況を深く考慮することなく、その場の思いつきで、いろんなことを喋ってしまう。
・喋ったからと言って、自分の発言に責任を持つことなど、これっぽっちも、考えていない。
・否定的な内容の話は、あまり、したがらない。する人は、「顔を切る」と言われ、非常に嫌われる。
・特に、「できない」という言葉は、その場の雰囲気を著しく害する可能性があるので、使いたくない。逆に、使うときは、何か意味がある。「できないんだけど・・・・(お金をくれたら)頑張れるかも・・・」。

きっと、副マネージャーも、日本から戻ってきたばかりの私や、あきおを、少しでも喜ばしてやろうと(?)、ついつい、景気のいい話をしてしまったのかもしれません。些細な発言が大事になってしまう日本と違って、大らかな、いい国であるとも言えますが、さすがに、こういった問題では、もっと考えて返事をしてほしかったと思います。

本命だったサットリーに、あっさりと入学を断られ、ダオルンや、その他の中学にも、すべて、同じ理由(タイで中学の勉強をしていない)で断られ、ありとあらゆる伝手を辿って、あらん限りの手段を試みてみましたが(もちろん、裏口入学もです)、現地校への編入は絶望的になってしまいました。プーケットで残された道は、インターナショナル・スクールに入る以外はありません。

あきおは、大いに憤慨していました。ラントムも、大変なショックを受けていましたが、私は心のどこかでは、
「そんなことも、あり得るかもな・・・・」
とは、感じていました。
タイというのは、そういう国です。それは、昨日、今日、始まった話ではありませんし、滞在歴16年で、酸いも、甘いも、心得ているはずの私が、今更、そんな泣き言を言っているようでは、単なる恥の上塗りになってしまうでしょう。いつ、いかなる場合にでも、
「念には、念を」
ずいぶん、用心深くなっていたようで、予め最悪の事態に備えて、すべり止めを用意していました。

(この話、また続きます)
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by phuketbreakpoint | 2010-01-20 14:05