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タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
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「8時だヨ!全員集合」に補習校運営の秘訣を見た 

“8時だよ”
いかりや長介さんの、だみ声を合図に、会場全体が、
“全員しゅうごー!”
と大声で叫びます。
そして、加藤茶さんを先頭に、ドリフのメンバーが会場から、ステージに駆け上がってきます。

最近、補習校の先生方の間で、DVDソフトの貸し借りが流行っていますが、その中の1つに、懐かしのお笑い番組、「8時だヨ!全員集合」が含まれていました。
昭和44年の秋から、TBS系で放映されていたこの番組は、当時の小学生にとって、
“見ないと、月曜日に友達と話ができない”
ほどの人気番組となり、1985年に終了するまで、16年もの間、日本の子どもたちを、大いに楽しませてくれました。

出たとこ勝負の収録を、だらだらと長時間行い、後から面白い部分、問題の無い部分だけを、編集で繋いでオンエアする、最近のバラエティー番組と違って、生放送(凄い!)の限られた時間内で、台本どおり、忠実にストーリーを展開して、笑いをとっていくのですから、作る側、演じる側の苦労は、計り知れないものがあったでしょう。
見ていると、自然に引き込まれていくのですが、そんな中で、ふと、気がついたことがありました。
なんとなく、やってることが、補習校と似通っているのです。しかも、補習校とは比べものにならないほど、子どもたちに大うけしています。
これは、うまくすれば、番組進行が、そっくりそのまま、授業でも使えるのではないかと思いました。

例えば、オープニング。
“さあ、今週も、元気にいってみよー”
2階の幼児部教室に、時間キッカリに、生徒が全員集合して(この時点で、既に不可能じゃないかという気もしますが・・・)、朝礼がスタートします。

「全員集合」のメインは、CM明けのロングコントですが、授業のメインも、1時間目に持ってきます。児童たちの緊張感が最も高く、ペース配分を気にする必要もありません。
授業が始まり、先生が教室に入ってきます。
先生たる者、まずは、このセリフから始めないと、話にならないでしょう。
“オーッス!”
“声が小さい。もう一度、オーッス!”
(注、後年は、ふざけた調子で、「オイーッス」と言うようになってしまいましたが、初期の、いかりやさんは、精悍な表情で、気合十分に、はっきりと、こう言っていました)

そして、大掛かりなセットに仕掛けが隠されているのが、ロングコント最大の特色です。
・壁から現れる、忍者や、お化け
・突然舞台を横切る、動物
・天井から落ちてくる、ブリキのたらい
子どもたちを喜ばせる要素が満載されています。
私も、1年生クラスを担任した年は、いろいろと、ネタを仕込んで授業に挑んだものでした。基本例文を、自然に暗記できるようにと、「てにをはソング」を作詞・作曲して、授業で歌わせたり、手製のカルタを作ってきたり(娘の、なおこに絵を描いてもらいました)、濁音、促音語集を画用紙に書いてきたり。
こういった、ちょっとした仕掛けが、特に低学年の授業では必要なんでしょう。

メンバー1人1人に、順番で課題をやらせていくのも、全員集合の大きな特徴です。
「じゃあ、ブー(高木)から、やってみよう」
「次は、工事(仲本)、いけー」
「よし、今度は、加藤だー」
「最後は志村。バカー!なんだ、その格好は」
先生が1人1人、子どもたちを、チェックしていきます。
1クラスに、数十名も児童がいれば、1人1人、やらせていくのは、時間的にも無理がありますが、プーケット補習校なら、出席している生徒は、各クラス、だいたい4~5名程度ですから、まったく問題はありません。補習校ならではの、メリットだと言えるでしょう。
ただ、プーケット補習校史上、日本語で、粋なギャグを飛ばせる子は、未だかつて、一人も現れていません。日本の学校なら、どのクラスにも、必ずいる人気者・・・、そんな子がいれば、うちの学校も、一皮剥けるんですが・・。
出て来い、加藤茶、志村けん!

また、休憩時間が慌しいことも、共通していると思います。
全員集合の場合、ロングコントの後で、ゲストの歌手が歌っている間に、舞台裏では、後片付けや、掃除(水浸しになることも結構多い)、後半の準備などを行いますが、補習校も、わずか5分間の休憩時間で、次の授業に使う教材のコピー、お客さんや保護者との対応、プリント配布、業務連絡等をやらねばなりません。

ドリフといえば、加藤さんや、志村さんを思い浮かべますが、常に中心にいて、みんなを、リードしていたのは、やはり、いかりや長介さんでしょう。メンバーが次々に繰り出すギャグを、すべて受け止め、絶妙なタイミングで、リアクションを返していきます。全員の持ち味を、うまく引き出していますね。
補習校でも、子どもたちが発する自己表現を、冷静に見極め、タイミングを外さないように、何か反応してやることが大切なのかもしれません。
また、いかりやさんには、コント全体を強引に引っ張る、強烈なリーダーシップがありました。ドリフ結成当時は、強烈すぎて、メンバーと衝突し、離脱していった人も多かったようですが(なんせ、ギャラの配分が、6:1:1:1:1、だったそうですから・・・)、あれくらいの強さも、クラス運営には必要なのでしょう。
先生たるのも、「いかりや長介」にならねばいけません。

そして、フィナーレです。
♪ババンバ・バン・バン・バン
“風邪ひくなよ”
“歯磨けよ”
“宿題やれよ(ホントにやれよ!)”
毎週、加藤茶さんが、テレビを見ている子どもたちに語りかけた、お馴染みのセリフですが、補習校の終礼も、こんな感じでいいと思います。
最後は、先生、児童全員で、特に明るく、
「また、らいしゅー」

番組の歴史を振り返ってみれば、世代交代の大切さも、よくわかります。
私の世代にとって、ドリフのオチは、
「やっぱり、カトちゃんじゃないと・・・」
といった思いが、今でもあるのですが、人気絶頂だった加藤さんを、アッサリとメインから外し、彼の付き人だった志村さんと交代させるという荒業は、全員集合の番組寿命を、明らかに伸ばしました。
しかし、志村さんのブレイク後、第2、第3のメンバーチェンジを行わなかったことが、限界を早めることになったのかもしれません。リーダーの、いかりや長介さんも、生前、それを後悔していたようですが、補習校の運営も、まったく同じことが言えるでしょう。
同じスタッフで回していけば、いつかは、マンネリ化してくると思います。数年周期で、うまく世代交代できれば、きっと、長く続けていけるのではないでしょうか。後継者を育てていくことも、私の大きな使命です。

ところで、ドリフといえば、腑に落ちないことが1つあります。
1970年代の終わりごろ、松下電器(現在のパナソニック)が、家庭用ビデオデッキ、「マックロード」を華々しく、新発売しました。先行するソニーの、「ベータマックス」に対抗すべく(世に言う、「ビデオ戦争」)、鳴り物入りの大宣伝を、連日テレビで展開していましたが、そのCMに起用されたのが、ドリフの仲本工事さんでした。
「コ・マ・オ・ク・リ・モ・デ・キ・マ・ス・ヨ」
のコピーは、「全員集合」の中でも使われ、有名になりましたが、なぜ、天下の松下が、しかも、社運を賭けた主力商品のコマーシャルに、ドリフを、しかも、加藤さんでも、志村さんでもなく、仲本工事さんだったのか?
実に、センスの良い人選だったと、今なら言えるのですが、きっと、100年後の経済学の教科書には、こう書いてあるでしょう。
「マルクス理論に破綻が見え始めた頃、日本のナカモトが、画期的な、新型電気製品販売競争の帰趨を決定づけた・・・・」

よーっし、オレも、イカリヤは無理としても、ナカモトを目標に、頑張るぞー!!!
えっ?私じゃあ、せいぜい、高木ブーさんですって?
でも、補習校が全体としてウケているのなら、それでも、いいじゃないですか。
役割分担が大切なことも、「全員集合」は、教えていますから。
by phuketbreakpoint | 2009-05-17 10:23