タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
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親子で遠足、エイエイオー!

8月25日、
帰国中の、あきを除く、私たち家族は、ピピ島の一泊旅行に出かけました。
前回、ここを訪れたのが、1995年の2月です。あれから、15年、どう変わっているか、非常に興味がありましたが、トン・サイ湾の港から眺める景色は、それほどの変化はないように思えました。
しかし、船が多い!
元々、小さな湾ですが、大小様々な船舶で埋め尽くされており、
「ちょっと、海水浴でも・・・」
とても、そんな気分にはなれません。
島の反対側にある、ロ・ダラム湾は、船も少なく、ビーチ・パラソルが並んでいて、一応、リゾートという雰囲気はありましたが、目を見張るほどの美しさでもなく、プーケットのビーチと、大差ないように感じます。ボート・タクシーで、足を延ばせば、
「さすが、ピピ島!」
というポイントもあるようですが、わざわざ、プーケットから船で来たというのに、また、船に乗らねばならないというのも、
「入場料を、二度取られるような気分」
になって、どうにも気が進みません。

翌日、ホテルのチェックアウトは、11時でした。
帰りの船が出る2時半まで、たっぷり時間がありましたから、徒歩でビュー・ポイントまで、行ってみることにしました。
ところが、ラントムは、出発前から、
「私、この辺(ホテル周辺)で、ブラブラしてるわ」
と、まず脱落です(タイ人は、太陽の下で歩くことを、極端に嫌いますね)。きよみも、少し歩き始めて、
「私も、ママと一緒にいる」
と、リタイアしました。前日に散歩したときも、
「夕方は、涼しくて気持ちがいいねえ」
と、みんなが喋っている、その横で、きよみ1人だけ、汗だらけになって、
「暑くて、死にそうだー」
なんて言っていましたし、菱和の寮生活で落としてきた体重も、プーケットに戻って、僅か2週間の間に、リバウンドしてしまい、山登りするには、体が重くなり過ぎていたようです。
近所の飼い猫が、寄ってくる度に、
「この猫、きよみのことが好きみたい」
と可愛がっていましたが、きっと、猫は、こう言いたかったのでしょう。
「しめしめ・・・・。この子の傍にいれば、いつでも、食べ物にありつけるぞ・・・」

結局、なおこと2人で登ることになりました。
アスファルトで舗装された坂道を歩いていくと、しばらくして、
「ビュー・ポイント、こちら」
の目印が出ています。残り時間は、まだ、たっぷりありましたから、その先にある、「TUNAMI VILLAGE」を、見に行くことにしました。南海の離島で山登りというのも変な話ですが、前日の冴えない湾の様子より、こちらの方が、遥かに魅力的に思えます。
しかし、道路は、よく整備されているものの、道幅が広く、木陰もほとんどありませんから、日光が全身を直撃し、しかも、雨季とは思えないほどの青空の下、私と、なおこは、坂道を上っていきました。

大勢いる我が子の中で、父の無謀な提案や思いつきに、いつも最後まで付き合ってくれるのが、なおこです。
私は自分の長所を、辛抱強さだと自己評価していますが、これを最も受け継いでいるのが、なおこなのかもしれません。
「長い坂だなー。ぜいぜい・・・・・。でも、頑張るぞー」
「オー!」
「上りきるぞー」
「オー!」
なおこと勝どきを挙げながら(2人だけの、アワ・ブームです)、ようやく、坂の上に着いたと思ったら、そこには、さらに厳しい急勾配が続いていました。
「うわあああ、また坂だー!」
「ひゃー、パパ、死んじゃうー!」

1時間も歩いたでしょうか。突然、山の中に、人工湖が現れました。
「こんな小さな島に、こんなに、いっぱい人がいて、よく水が足りるもんだ」
と不思議でしたが、こういう仕掛けだったんですね。
山の斜面に、ゴムシートを張って作られた湖には、水は、あまり残っていませんでしたが、この地点から、山向こうに海が見えました。
「あと少しだー!頑張るぞー!」
「オー!」
本当に、あと少しかどうか、根拠はありませんでしたが、とりあえず、そういうことにして、私たちは先を急ぎました。

ところが・・・・、
「痛ーっ!なんか、踏んだー」
なおこが突然叫んだので、靴を脱がせて調べてみると、ガラスの破片が靴底に、めり込むように突き刺さっています。足の裏から、血も出ていましたから、葉っぱに唾をつけて止血しましたが、これ以上、無理をして歩いても、目標に辿り着ける当てもありません。
「仕方ない。ここで引き返そう」
ツナミ村は、断念することにしました。

人間とは不思議なもので、当てもなく歩いているときは、実際の距離より遠く感じ、不安になるものですが、ひとたび帰路に就くと、とたんに元気がいっぱいで、ピクニックのような気分になってきます。
「なおちゃんのー、一番好きな人は、誰ですかー!」
「それは、パパで~す!」
「クシシシシっ・・・・・、お菓子買ってあげよっと」
足取りも軽く、下り坂を歩いているうちに、だんだんと勢いがついてしまい、駆け足の状態になってしまいます。
「なおこー!止まらない、止まらない、止めてくれええええ・・・・」
「パパー!助けてえー、止まらなーい!」
小学生の遠足みたいなことをやりながら、私たちは、山を下って行きました。

すると、いきなりサルが現れ、我々の前方を、ひょこひょこと歩いていきます。
「あっ、サルだー!」
ビックリしましたが、
「パパ、あれは、きっと、ガイドさんだよ」
なおこが、そう言うので、ついて行くことにしました。
ところが、その先に分かれ道があり、なんとなく、右に進む方が正しいように思えましたが、サルは、「左に行け」と言っています(そう見えたんですよー)。
「パパ、左だって・・・。大丈夫かなあ」
「なおこ、騙されるなよ。こいつは、嘘つきだ」
サルの案内とは逆に進むと、しばらくして、ファランのお兄ちゃんが、前方から歩いてきました。
「エクスキューズ・ミー。ビュー・ポイントは、こっちで、いいんですか?」
私が英語で尋ねると、
「・・・いいのかな?どうなんだろう・・・?どう思う?」
この人も迷っていたようで、まるで話になりません。すぐに、お兄ちゃんを見限って、私と、なおこは、さらに前進しました。
「なおこ、見ろー!あそこだー!」
5分も歩かないうちに、ビュー・ポイントの入り口は簡単に見つかりましたが、だったら、さっきのお兄ちゃんは、いったい何だったんでしょう(サル以下?)。

大きな岩肌に腰かけ、しばし休憩です。眼前には、アンダマン海と、ピピ島の山々が広がっていました。近くで見ると大したことのないビーチでも、苦しい思いをして辿りついた、ビューポイントからの眺めは、格別のものでした。
「ああ、いい気分だねー!」
頑張って、目標に到達するって、本当に素晴らしいことですね。
「やったな、なおこー。エイ・エイ・オー!」
私たち父娘は、もう一度、勝ちどきを挙げました。


8月30日、なおこと、きよみは日本に戻っていきました。
久しぶりに賑やかだった我が家も、静かになり、私とラントムに、また普段の生活が戻ってきました。
子どもの頃、学校が休みになるたびに、神戸に住む祖父母の家に、親戚たちが大勢集まったものでしたが、みんなが帰った後、祖母は、いつも気が抜けたように、ボンヤリしていたそうです。
月日が流れ、私にも、同じ思いをする番が回ってきたようですね。

ぼやーん・・・・・・。
なんとなく、虚ろな表情の私に気付いたのか、
「今夜は、なおこと、きよみを連れてきてあげたわよー。これ、パパにあげるから、一緒に寝たら」
ラントムが、クマさん人形と、キティーちゃん人形を、寝室に持ってきてくれました。
「こっち(クマさん)が、なおこ・・・・で、こっち(キティーちゃん)が、きよみ・・・・?
うん、確かに、よく見ると、似てるような気もする・・・・。
よしよし、よく帰ってきたなあ。今夜は一緒に寝よう」

私とラントムは、子供たちと一緒に、今夜も眠りに就くのでした・・・・。
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by phuketbreakpoint | 2010-09-05 10:42