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タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
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彼らは犬ですか?

前回、交通事故に遭ったと書きましたが、このとき、非常に不愉快な出来事がありました。

相手の運転手は、ぶつかった後、すぐに降りてきましたが、私とラントムには、見向きもせず、
「うわー、凹んじまってるなー」
と大きく身をかがめて、自分の乗っていたミニバスのフロント部分を心配げに見ています。些細な交通事故は、これまで何度か経験したことはありますが、相手が低姿勢に、
「すいません・・・」
と謝ってきたら、こちらも、
「ちょっと、傷が付いちゃったけど、まあ、いいから、いいから・・・」
あっさりと許してやるのが、大人というもんでしょう。保険会社に連絡を入れて、とっとと話をつけてしまうのが普通だと思います。
ところが、運転手の、
「あんたたち、ケガはなかったんだから、いいんじゃないの」
と言いたげな態度に、私も、ラントムも、ムカッと、きてしまい、
「お前、少しくらい、こっちの心配もしろよ」
と、運転手に詰め寄ってしまいました。

近くにいた交通整理中の警官が、すぐに、やってきましたが、やはり、この程度の事故で調書を取るのは面倒くさいから嫌なんでしょうか、運転手に向かって、
「500バーツあるか?彼らに、金を渡して、この件は、一件落着だ」
なんて、勝手に裁いてしまいます。たまたま、相手に所持金がなかったので、話は纏まりませんでしたが、翌日、運転手の所属するサイモンキャバレーで、話をすることになりました。

「こっちが被害者なのに、何で、こちらから出向かなきゃならないんだ?」
出かける前から、私は不機嫌でした。
サイモン・キャバレーで、保険会社の担当者と話をすることになりましたが、この男は、私とラントムの顔を見ても、挨拶するわけでもなく、名詞を出して、身分を明かすわけでもなく、いきなり用件に入っていきます。
ここでも、カチンときた私でしたが、こんなことくらいで怒っていては、タイでは、キリがありませんから、ぐっと我慢して、私は、ラントムと、この男の会話を聞いていました。

「心配はいりません。ちゃんと、うちの保険で、おたくのバイクは直しますから。なあに、大した修理代じゃないでしょう」
男は終始、話をバイク修理に限定し、簡単に決着を着けてしまおうとしていましたが、こちらは、昨夜と今朝、2度も病院に行っているわけですから、ラントムの体が本当に大丈夫なのか、心配なわけです。
「病院?大丈夫、大丈夫。それで、バイクなんですが・・・・」
医者でもないのに、そんなことを言っていますから、
「あのねえ、あんた。誰も、バイクの心配なんかしてないんだよ。あんなもんは、全損しても、5万(バーツ)くらいだろ。こっちは、彼女の体が心配なんだよ。朝から、出血してるんだぞ」
ここで、私が口を挟み、治療費等の話を始めようと思ったのですが、
「ですからですねえ、バイクのことは心配いりませんから、この書類に・・・・」
男は、私とは目も合わさず、ラントムに向かって、自分がしている話を止めようとしませんでした。

「聞こえなかったのか?」
と想い、もう一度、私は男の話を遮るように言い直しましたが、まったく反応がありません。あからさまな無視です。
タイに来て17年、少々のことは我慢してしまう私も、このときは、さすがに頭にきました。
「ふざけるな。人の話を聞け!彼女の体に問題が起こっていたら・・・・」
と私が再び口火を切っても、
「バイクの修理が終わったら、その領収書を・・・」
再び完全に無視でした。
「この野郎、いいかげんにしろ!」
小競り合い寸前になって、ラントムが割って入り、乱闘にこそなりませんでしたが、日本で日本人から同じようにやられていたら、間違いなく、ぶん殴っていたと思います。

恐らく、AIGの米国本社から、送られてきた社員教育用マニュアルには、
「真の交渉相手(事故被害者)が誰か見極め、たとえ同伴者が何人いようとも、これを相手にせず、あくまでも、1対1で交渉を進め、自分のペースを守るよう、心がけるべし」
そんなことが書いてあるのでしょう。
タイ王国や、タイ人の美徳を完全に踏みにじり、まとめて肥溜めに捨ててしまうような内容を、そっくりそのまま、タイ語に翻訳し、一字一句、忠実に従わせているのではないでしょうか。

以前、ラントムがキリスト教に改宗した件を書いたと思いますが、日本国のキリスト教というのは、キリスト教本来の教えからみれば、ずいぶん、いい加減なスタンスを執っているように思います。ある新聞記者の回想録にも、こんなことが書いてありました。
「1979年のお正月、敬虔なクリスチャンである、大平総理に同行して、伊勢神宮にお参りに出かけた・・・・
ラントムや、仲間たちが聞いたら、きっと、唖然とし、
「こいつの、どこが、敬虔なんだ」
と憤慨すること間違いなしなんですが、日本のキリスト教は、一神教の本質を、うまくカムフラージュして、
「まあ、同時並行で、他の宗教をやりたいという人がいても、あえて、咎めないし、冠婚葬祭等、世間一般の付き合いってものもあるから、その辺は、あんまり、顰蹙を買わないように・・・」
国情に合うように、うまくアレンジされていると思います(まあ、大人の態度ですね)。
外資系企業のマニュアルも、同じように、日本の風土に合うよう、微調整されていると想像しますが、タイでは、混じりっけなしの、直輸入ものを、そのまま利用するだけなのかもしれません。

それにしても、堪えました。
本当に、大きなダメージを受けました。誰かを傷つけたり、落ち込ませたり、そんなことを目論んでいる人がいるのなら、この手は使えるんじゃないかと思いました。
家に帰ってきてからも、
「ママ、今日は、まいったよ。本当に、ショックだった。あれじゃあ、オレは、犬だもんねえ・・・。この明るい国で、あんな奴もいるんだなあ・・・」
いまだに気分が悪いです。

しかし、考えてみれば、日本人も、同じようなことを平気な顔して、やっていると思います。ラントムは、よく、こんなふうに憤慨しています。
「あの人、こちらから挨拶してるのに、何にも言わないわ」「気付かなかったのかも・・・と思って、目を見て、正面から挨拶してるのに、また無視されたわ」「何をしゃべりかけても、一言も返してこないの。いったい、何なのかしら」
こういうコンプレインを受けたのは、1度や2度ではありません。

たとえば、日本人が、プーケットのどこかで、知っている日本人に会ったとします。その人が、タイ人の配偶者や恋人等を同伴していたとしても、その同伴者とは、会話はもちろん、挨拶すら、交わされないことって、ありませんか?
タイ人は、ほとんど、犬扱い・・・。いや、動物好きの人なら、
「あらま、可愛いワンちゃん。お名前は?そう、ジョンちゃんっていうの? 『ジョンちゃん、始めまして。よろしくね』」
なんて、やってる人がいますから、これは、もう犬以下で、アクセサリーか、なんかと同じ類なんでしょう。

かく言う私も、在タイ歴が浅かった頃は、やっていました。
いや、極力、そうならないように努力してはいますが、知らず知らずの間に、今でも、やっているのかもしれません。
「タイ人にも、分け隔てすることなく、しっかり、挨拶と会話」
いつも、それができている人は、そうはいませんね。

以前プーケットで旅行社を経営していた品川さんは、うちに飲みにきたら、必ず、こうやっていました。
「テンちゃん、サワッディー・カップ」
「ウーティットくん、サワッディー・カップ」
スタッフ全員の名前を覚えたうえで、一人一人に対し、ニコッと笑顔を作って、挨拶していくのです。
そう言われれば、どんな人だって、
「サワッディー・カップ」「サワッディー・カー」
と返すのが人間社会ですし、それを何度か繰り返しているうちに、相手も名前を覚えて、
「シナガワさん、サワッディー・カー」
自分のほうから、挨拶してくるようになります。
日本人が、タイ人を人間扱いしていないのと同じように、タイ人たちも、外国人をエイリアン扱いして、疎外している部分もありますが、品川さんだけは、みんなから、身内扱いされていました。
この人は、なかなか立派だと思いました。

みなさんも、心当たりがあったら(絶対に、みんなあるはず)、大いに反省してください。そして、
「アイツら、挨拶もしやがらねえ・・・」
なんて、ブーたれているのなら、品川さんを見習って、自ら笑顔で積極的に挨拶したらどうでしょうか。
きっと、周りのタイ人たちの態度も、変わってくると思います。

私も、自ら範を示し、この前、喧嘩になった保険屋に、どこかで、また会ったら・・・・・・、
もしも、本当に、会ってしまったら・・・・・・・・・・、
今度こそ、思いっきり、ぶん殴ってやろうと思っています
だって、彼は、タイ王国の、「面汚し者」ですよ、ホントに。
by phuketbreakpoint | 2010-02-11 10:01