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タイ・プーケット島在住。タイならではの出来事や日々の体験、個人的な思い出などを書きとめています。


by phuketbreakpoint
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チキンレース

二ヶ月ほど前に、ちょっとした交通事故に遭いました。
パトン・ビーチで、女房のラントムと、バイクの2人乗りで停車中、後ろから来たミニバスに追突されました。
大してスピードは出ていませんでしたから、2人とも無事に見えたのですが、帰宅して、しばらくしたら、ラントムの腹部が痛くなってきました。
「パパ、なんか変だから、病院に行っていいかしら」
慌てて、タウン郊外の病院に行き、検査してもらいましたが、特に異常はないということで、その日は帰宅しました。
翌朝、目を覚ますと、生理でもないのに、ラントムが出血しています。
「こりゃ大変だー」
ということで、また車に乗って病院へ行き、検査の結果、体内に装着していた、プラスティック製の避妊具が、衝突のショックで破損し、膣の内部を傷つけていたことが判明しました。

タイでは、女性が出産し、その子が2人目以上だったりすると、医師から、こんなふうに言われます。
「あなたも、もう、この辺で、いいんじゃないですか」
外科手術で卵巣を切除して、子どもができないようにしないかと、やんわりとした口調ながら、しつっこく誘導されますが、それを断った人用(?)に、
「だったら・・・」
と用意されているのが、この避妊具でした。

卵管を、プラスティック製のフックで塞いで、精子が入り込まないようにする、単純な仕組みですが、避妊確率は100パーセントということです
使用感はなく、メンテも不要で、費用も安く済みますから、理想的な避妊方法と言えますが、HIVの予防はできませんから、不特定の男性を相手にする場合は、コンドームの着用が必要となります。

ラントムは、なおこと、あきおを出産した後に、使い始め、
「そろそろ、もう一人、作らないか」
と4年後に、これを外したところ、長年塞き止められていた関門が、突然開放されて、精子たちも、大喜びしたのでしょうか、
「おお!今日は、開いてるぞー!」
と、我を競って、卵管に雪崩れ込み(戦国時代の城攻めと同じです)、あっという間に妊娠して、きよみが生まれました。
出産後に、また避妊具を使い始めたラントムは、5年に1度、新しいものと交換し、今日に至っています。

破損した避妊具は、簡単に除去できて、傷口も、すぐに治ったようですが、
「しばらくの間は、新しいフックは付けない方がいいでしょう」
と医師に言われ、別の避妊方法を考えることになりました。
新婚当時のように、「毎晩」というのなら、避妊薬を飲み続けることもできますが、
「なんとなく、今夜は、やられちゃいそう・・」
ラントムが、そう思ってから飲んでいたのでは間に合いませんから、結局、コンドームを使うことになりました。

それにしても、みっともないのが、もうじき50歳になる、この年になって、お店で、コンドームを買わねばならないことです。
最初は、近所のビッグ1(コンビニ)で、と思ったのですが、それでは、
「あら、あそこのご主人、今まで、一度も買ったことがなかったのに、最近は、よく買っていくわねえ・・・・・。きっと、女ができたのよ・・・」
あらぬ疑いを、かけられてしまうでしょう。
わざわざ、コンドームを買うためだけに、バイクで遠くのコンビニまで行くのも、スケベ丸出しのようで、なんだか気が引けます。
長男のあきおと、相互支援契約を結んで、
「お前の、タバコを買ってきてやるから、パパの代わりに、コンドーム買ってきてくれ」
親子で、持ちつ持たれつ、助け合っていこうとも思いましたが、
いい年こいて、パパも、元気なんだね
と、息子に思われるのも、もっと恥ずかしいので、止めにしました。

結局、ロータスで、他の商品に紛れさせ、ドサクサ買いする以外に方法はないということになり、ラントムと一緒に出かけましたが、コンドームが置かれている場所というのは、どういうわけか、人目の多い、キャッシャー・カウンターの近辺にあって、2人の内、どちらが、それをカゴに入れるか、という大問題が残されていたのです。
「ママが取ってよ。オレ、恥ずかしいよ」
「なんで、女の私が取らなきゃならないのよ。あなたが取りなさい」
「ママは、タイ人なんだから、さり気なく、取っちゃえば、大丈夫だよ」
「見られて恥ずかしいのは、私も同じよ」
夫婦で長々と、そんなやり取りを繰り返していましたから、ますます目だってしまったでしょう。

こんな思いをして、ようやく手に入れたコンドームですが、タイで売られているのは、わずか3個入りですから、数日後には、また、恥ずかしい思いをしなければなりません。
しかも、十数年ぶりに使用したコンドームは、実に、使い手の悪い商品だと、改めて感じました。

「どの時点で、装着するか?」
は、昔から議論の分かれるところですが、私は、ギリギリまで引っ張ってから、最後に、ちょこっとだけ付ける・・・のが、一番いいのではないかという考えです。
しかし、ゴール直前に来ているというのに、暗闇の中で、
「えーと、えーと、どこに置いたかなあ・・・、コンドーさん、コンドーさん・・・・、あ、あった。
ん?袋が、うまく破れないぞ・・・。おっ、ここが切り口か・・・。
えーと、どっちが表なんだ? あ、こっちか・・・、よいしょっと・・・・。
あれ?ブカブカだぞ。しまったー!サイズ間違えたかー」
なんて、やっているのも、実に、間の抜けた話です。

こうなったら、どこまで、コンドームなしで我慢できるか、限界まで挑んでみるのも、面白いかもしれません。
ジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」では、断崖絶壁に向かって、車を全速力で走らせ、どちらが怖気づいて、先にブレーキを踏むか、勝負するシーンがありました。
私も、ラントムと勝負してみましょう。
「パパ、そろそろ、危ないわよ」
「甘いぜ、ラントム。オレは、まだまだ、ガンガン行くぜ」
「もう、ダメだって・・・」
「怖気づいたのか。オレの持久力は、並じゃないぜ」
「いい加減にやめて。出ちゃったら、どうするの」
「大丈夫だ。バリバリ飛ばすぜ!」
ブイブイブイブイ・・・。
おらおらおらおら・・・。
(ヘレヘレヘレヘレ、ピリリリリリ・・・)
「おっとととととと、いっ、いかん!ダメだー!間に合わないー!」
(チビリ)

10ヵ月後、
「オギャー」

(・・・んなことにならないように、みなさん、最初から付けておきましょうね)
by phuketbreakpoint | 2010-02-04 12:16